




日本 料理王国 雜誌 2009,2月號
馬拉桑(Ma La Sun)粟酒
映画のヒットで大人気
2008年台湾映画史上最大のヒットとなった『海角七号』は、愛と夢と音楽の物語だ。終戦直後、今から六十年前に書かれたラブレターの描写をからませながら、台日間の現代のラブストーリーが展開する。映画の中で重要な役割を果たす酒を探して、魏徳聖監督は台湾で最も歴史の長い酒蔵である南投県信義郷農会(農協にあたる)梅子夢工廠に協力を仰いだ。一ヶ月かかって、粟を原材料としたアルコール度数12度の醸造酒を開発し、「馬拉桑(マラサン)」と名づけた。「馬拉桑」とは、原住民の言葉で「酔っ払った」という意味だ。映画では、セールスの男性が、人が通るたびに「馬拉桑!」と大声を上げ、熱心に粟酒を勧める。キャッチコピーは「千年伝統全新感受(千年の伝統、まっさらな感動)」。映画の後半には、「馬拉桑」は主役がボーカルを務めるロックバンドの名前にもなっている。
予期せぬ映画の大ヒットで、物語の舞台となった台湾南端の屏東恒春に、台湾中から観光客が押し寄せ、粟酒「馬拉桑」も各地で品切れが続出している。
2008年11月には、台湾と中国の対話の再開として台湾を訪れた中国海峡両岸関係協会の陳雲林会長が、映画に描かれた台湾の海と恒春の美しさを見て、ぜひ南部へ行ってみたいと語った。更に、国民党・呉伯雄主席の招宴では「馬拉桑」が振舞われ、陳会長はそのネーミングと味を絶賛し、ぜひ買って帰って友人と飲みたいと話している。
中国のビジネスマンが、これをほうっておくわけはない。信義郷農会に、「馬拉桑」を中国に輸入しようという業者からの問い合わせが殺到している。
信義郷梅子夢工廠
キャプション
ストーリーと同じ、ほんのり甘いさわやかな味わい。粟・米・糖が原料。
ロックでも、レモンを絞っても、炭酸水で割ってもおいしくいただける。
文・写真 柯俊年